会社から海外転勤命令。「仕事を取るか、家族を取るか」鬱病の妻を抱える男性。その辞令に対して男性が語った言葉に、心を打たれる。。。。

仕事と、家族。

どちらも人生には必ず必要であり、天秤にかけるものでもなければ、比較してどちらが大切かなどと考えるものでもありません。

しかし現実的には、この二つが「トレードオフ」となりながら、バランスを欠く状態になってしまっている家庭が数多く存在しています。

仕事と家族、どちらかを選択しなければならない状況に立たされたその時、何を考え、どう行動するか。

そんな状況に立たされた、何とも心打たれる一人の男性の話があります。

妻と娘2人の4人家族の男性。

大手銀行に勤め、社内でも評価が高く、いわゆる「エリートサラリーマン」だった彼ですが、彼は一つ大きな問題を抱えていました。

結婚する前から、妻の精神状態が少々不安定だったのですが、1,2年前程から、妻が正式に「鬱病」と診断される状態になってしまったのです。

幼い頃の家庭環境が影響してか、とても気持ちが落ち込みやすい妻。

それでも娘2人を立派に育て、家事もこなし、妻としては本当に完璧なもので、中学3年生と中学1年生の娘も、妻の事が大好きでした。

家庭を守るためにも、仕事に一生懸命取り組む男性。

しかし、その男性の人生を大きく変える事になる出来事が起こります。

突然、その男性に、勤め先の銀行から「海外転勤」の辞令が届いたのです。

会社でも信頼が大きいこの男性。

重要なプロジェクトに伴う海外転勤の辞令に、喜びと同時に、言い表せない「不安」を感じる事になります。

仕事的には、素晴らしい話。

出世コースでもあるその辞令に、社内では「おめでとう」と声を掛けられるほど。

しかし、この喜びを覆い塞ごうとする程の大きな不安。

その不安は、

「妻をどうしよう」

という妻を心配した不安であると、気付くまでにはあまり時間を要しませんでした。

長女の高校も決まり、突然海外転勤として数年海外に家族で引っ越すというのは、あまりに非現実的なものでした。

そうなると、一人単身で海外に行くということになる。

しかし男性は、そうして妻の元を離れることがどれほど危険なことであるかというのを、容易に想像することができる状態だったのです。

今も尚、悪化し続けている、鬱の病状。

それでも妻が家庭を愛し続け、崩壊せずに上手く成り立っているのは、間違いなく夫であるこの男性ができる限り妻の側に寄り添ってきたからでした。

帰宅後、辞令の内容を、妻に打ち明けます。

すると、なんとも悲しげな表情をする妻。

でも、その後すぐに笑顔になり、

「私は大丈夫だから。応援しているよ」

と、辞令の内容を喜んでくれます。

しかしその笑顔は、明らかに無理のある笑顔だったのでした。

その後、一人でずっと、今後のことを考える男性。

キャリアを考えても、今後の仕事のことを考えても、何も迷わず前に進むべき。

でも、妻のその表情が頭によぎるたびに、自分の進もうとしている道に戸惑いを感じるのでした。

そうして辞令が出た翌日・・・

男性は、驚きの行動に移ります。

なんと、その辞令を辞退し、同時に会社を辞めようと辞表を提出したのです。

社内中が騒然とする中、もちろん上司に呼び出され話をする機会を設けられます。

でもこの男性は、病気に苦しむ妻の側にどうしても居てあげたいと上司に伝えるのでした。

この男性が下した決断は、仕事を犠牲にし、家族を取るという選択だったのです。

男性は、上司にこう話したそうです。

この仕事を誇りに思っていて、辞令も心から嬉しかった。

しかし、どうしても妻の元からは離れられません。

仮にこうして職を失ったとしても、私にはたくさんの選択肢が残されます。

しかし、妻にとっては、私を失ったとしたら、何も選択肢が残されない。

逃げ道がなくなってしまうのです。

そして同時に、私も妻という人間は、この世に一人しかいません。

仕事の変えはきいても、妻の変えはききません。

その妻が病気で苦しんでいる以上、妻の元を離れるという選択はできません。

たくさんの謝罪の気持ちと、それでも妻の元にいたいという強い想いを言葉に乗せたそう。

辞表を同時に提出したのも、企業命令に従えないことへのけじめだったのです。

それでも彼の決断がぶれることはその後ありませんでした。

結果的に、会社はこの辞表を受理することなく、今も尚同じ職場で働いているそう。

会社側も、この男性の状況や気持ちを最大限尊重する形をとってくれた為、

「感謝してもしきれない」

と男性も話しておりました。仕事を取るか、家族を取るか。

一般的な概念では存在してはならないようなこの天秤があって、その天秤に立ち向かっている人が世の中にはたくさんいます。

それがこんなにも困難な決断であった時・・・

こうして男性が下したような決断をすることは決して容易なことではありません。

それでもこうして全ての事が上手く落ち着いてくれたのは、妻を守るという強い気持ちと、

仕事というものへの覚悟を持ち、家族とも会社ともしっかりと向き合ったからではないかと、男性の話を伺っていく中で強く感じる事ができました。

まだ奥様は病気と闘っているようですが、今も尚変わらず、出来る限り側にいてサポートをしているとの事。

こんなにも強い気持ちを持ち続けていれば、いつか必ず良くなると、私も心の底から思っています。

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